2×4 Audio (オーディオ)

 楽しむオーディオライフ
 お洒落なオーディオコンポが手に入る中、自分オリジナルスピーカ作りにチャレンジしてみてはどうだろう。
 インテリアの一部にとけこむようなオーディオを手作りするのは、楽しい世界を作ってくれる。
 木の材質や寸法、音響性能などを考慮しながら様々な設計プランに思いをめぐらす時間は心地よい。

 オーディオマニアの本格的スピーカボックス作りは、
 綿密な計算から高度な木工技術により作り上げられるが、
 インテリアや使いやすさを優先したスピーカがあっても面白い。

 こんなスピーカボックス作りに最適な材料として安価で手軽な2x4材が思いつく。
 これをスピーカボックス製作に利用しない手はない、
 と、チャレンジしたスピーカボックスの数々を紹介する。
 もちろん木材の選択で音の質が大きく変わるが、あまりかたいことを言わずに
 手軽さと完成の満足感を優先して、スピーカボックス作りを楽しんでみよう。




 「マル椅子」スピーカ

狭い部屋にスピーカボックスは邪魔な存在。
家具内にビルトインするスピーカボックスの第一弾として
「マル椅子」(スツール)にスピーカを組み込んでみた。
使用したマル椅子はIKEA製の木製椅子、安価で木工に
適した椅子だ。(IKEAスツール FROSTA21255 \899)
これに、宙づりになるイメージでスピーカボックスを固定してみた。
座面の直径が42cmあり、
思いの外大きなスピーカボックスがつくれる。

ボックスは低音が楽しめるバスレフ型。
スピーカユニットは入手性が良いFostex社製のFF125WK。
どんな箱でもびっくりサウンドが飛び出すユニットだ。
木材は1x8材と1x10材を使用した。
2x4材のボックス作りでは材料の制約で
設計通りの寸法や容量が取れないことが多い。
さて、音の方だが、ボリュームを少し高めにしてみると
びっくりする低音が出てくる。 さすが、パワーのあるユニット。


   


 ■ 2x4材
  スピーカボックス作りには、一般にベニア板(合板)がよく利用されるが、
  90×180cmのサイズから各パーツ切り出すのは高度な木工技術が必要になる。
  しっかりした堅い板なので、音響的にも優れているのだろう。

  2x4(ツーバイフォー)材は海外で家を建てるために用いられる構造材。
  沢山使われるため価格が安く、柔らかくて加工しやすい材木。
  SPF材は北米産のパイン(マツ科の針葉樹)の木で、表面処理や面取が施されて扱いやすい。
  長い材料なので短い距離を切るだけで板を取り出せる。

  スピーカボックス作りは2x4などの2xn材は厚みが出てしまうので1xn材が適している。
  最近ホームセンタでも1xn材が取りそろえてあるので手軽といえる。

  2x4材はよく使われる1サイズを代表した呼び方で、サイズのバリエーションは主に10種類ある。
  2x4材の寸法をまとめてみる。
         
1×419×89mm2×438×89mm
1×6 19×140mm 2×6 38×140mm
1×8 19×184mm 2×8 38×184mm
1×10 19×235mm 2×10 38×235mm
1×12 19×286mm 2×12 38×286mm

  パイン材は節(ふし)が多いのが特徴で、使いにくさになっているが、
  スピーカボックスでは節の柄を選んで模様として楽しむのがいい。
  2x4材はパインだけではなく、木の種類は沢山ある。
  SPF材は北米産のパインだが、北欧産のホワイトウッドよく流通している。



 Speaker in IKEA's Book shelf

IKEAの人気商品である「KALLAX」シェルフユニット。
この中に便利に収まる簡単スピーカ。
KALLAXは4〜16boxまでの安価な多目的シェルフだ。
オプションでキャスタをつけると自在に移動可能。
この1つのbox高は337mm。
ぴったりの335mmでカットしたスピーカBOX。
棚の中にすッとはめ込む。

白いBOXに合わせて白色のスピーカユニットを探してみる。
Vifaの「TG9FD-10-08」を見つけた。
箱の中にまた箱を作ることはない。
簡単にコの字型のワクを作る。
108cm幅として10.5リットルの空間を作る。
バスレフ型とし、低域をややアップさせる。
同じメラミン材ということで、
IKEA「RATIONELL」の棚板2枚を加工。
観賞魚用フィルタを吸音材として折りたたんで収納。
ユニットのフレームがプラスチックなので取付に注意が必要。

さて、うまく棚の中に収まるか?
水平に差し込むときつめにスライドしてうまく収まった。
まるで、IKEAのオプションパーツのように溶け込んでいる。

音を流し込む。
柔らかな感じの音色がする。
グラスファイバーコーンの音色。
低音も充分に出ている。
特性を見ても素直な感じがわかる。

   


 足場材を利用した「dbスピーカ」

味わいのある足場材の古材でつくるスピーカボックス。
荒々しい木目は幾多の現場で活躍してきた新たな年輪か。
インテリアにも工夫して楽しめるdbスピーカ。

足場材は「WOODPRO_ASHIBA」で入手できる。
ここでは通常35mmの材料を挽き割りで15mmに加工してくれるため、
やや薄いとはいえスピーカには使いやすい。
箱にマッチするよう スピーカユニットも木製にこだわってみた。
このウッドコーンスピーカはカナダSOLEN社製のAIRBONE FR124。
12cmフルレンジスピーカ。
木目のコーンが何ともいい感じ。
スピーカボックス自体は密閉キューブ型のスタイルで特徴はない。
製作中に軽く叩くと良く響く良い音。
乾燥した杉の板が楽器のようによく響く。

実際音楽を流した瞬間「おーーっ」という驚きの響きがある。
時間と共にユニットが箱に馴染む。
森の妖精同士が仲良くなったか?

   

★インテリアを楽しむ
このスピーカはdとbのスタイルで、
並べ方を変えるといくつかのパターンの家具に変身する。
棚板は35mm厚の材を板のまま使用する。
パターン1 ノーマルスタイル
パターン2 左右逆転スタイル
パターン3 逆転スタイル (煉瓦を2つ使うと高さ調整可能)
サイドボードやテレビ台に使える。






 ■ 足場材を使うポイント
  足場材はカドの窪みやシミ、割れなど細かな欠点を持った材料。
  横幅も多少のくるいがある。
  精密な工作は基本的に不可能といえる。
  逆に多くの欠点を前面に出してそのおもしろさを楽しむ方がいい。
  挽き割りした板は入荷時すぐに工作しないと
  周囲の環境で大きく曲がってくる。
  このようなときは縮んだ面にたっぷり給水を行い
  ラップをかけておくと回復する時もある。
  しかし、さっさと作ってしまうのが一番だ。



 TQWT共鳴管スピーカ

ニョキっとのっぽな面白いスピーカが共鳴管型のスピーカ。
まさに2x4材をそのまま利用できるようなスタイルだ。
共鳴管は共鳴する周波数が管の長さで決まるので、
1800mmの2×4材をそのまま利用すると48Hzに共鳴する。
管にテーパをつけることで定在波を押さえて音の「もやつき」をおさえている。
1×4材の幅に合わせてスピーカを小型のFF85WK (Fostex)とした。
共鳴周波数は欲張って70Hzに設定してみた。
パワー不足を感じるので2台をドンと取り付けて低音増強を試みる。
foは115Hzなので挑戦的な設定かもしれない。
よって波長から決定する高さは1250mm。
テーパの関係でサイドは1×6材を利用する。
低音の放出を天井に向けることで工作を簡単にした。
転倒防止のためにベース盤には2×6材を取り付けている。

音を出してみると宇宙人が演奏しているような不思議な音。
特性を計測して吸音材の必要性を感じたため、
スピーカの下側に観賞魚用のフィルタを詰め込む。
細長いウールを8枚きつめに詰め込んでみた。
開口部側にも入れてみたがかえって特性が悪くなる。
再度試聴。
突然飛び出した音は、今まで出会ったことがないような音。
銭湯のようにエコーがきいている。
どの音が足りないのか? 多すぎるのかわからない。
椅子に座るとまた世界がかわる。
今度は音の種類が充実してきた。
上向きに解放された音が、うまく反射して降りてくるのか、
生バンドを聞いているような親しみがある。
BGMを流すにはとても良い。
また、このスピーカは設置する部屋と位置により音が大きく変わりそうだ。
ソファや本棚などの多いデッドな部屋でいい音が出る。
共鳴管型スピーカの不思議さは奥が深いかもしれない。

のっぽな柱のようなスピーカはインテリアに便利に 利用できそうだ。
2本の柱に棚板を渡してサイドボードやシェルフを作ったり、
部屋の間仕切りに仕立ててみてもいい。



 


 ■ 2×4木工
  2×4での工作は長い切断作業がないことが一番だ。
  しかし、簡単な輪切り作業は重要なポイントになる。
  直角に、垂直に材を切断するのはなかなか難しい。
  心の乱れがそのまま切断面に現れるので、
  精神統一が重要である。
  そこで、乱心な私などにぴったりな
  ノコギリを正しい道に導くツールがある。
  ソーガイドというツールを利用すれば神業。
  それでも曲がってしまう人は修行に出るしかない。



 ラブリコ突っ張り棒を利用したスピーカユニット

2x4材を使って突っ張り棒を作る
ラブリコという製品がある。
部屋のどこにでも壁を作れる。
2本のラブリコを使って棚を作り、
その中にスピーカをビルトインしてみた。
2x4材は89mm幅しかないため、
スピーカの容量は幾らも取れない。
4リットルを目標に組み込んでみた。
ユニットはFostexのFE88-sol。
FEシリーズの最新ユニットだ。
4リットルの密閉箱では200Hzで特性が下がってしまう。
バスレフ仕様なら60Hz位まで行けそうだ。
19mmの板厚を利用して20mmの穴を開けるだけでバスレフになる。
正面は1x8材を使用して184mmの幅とした。500mm程度の高さがあれば4リットルは確保できる。


   


 パソコンステーション「スピーカ搭載」

ラズパイによるLinaxを探求するするためのパソコンステーション。
ネットワークオーディオを実験するためにスピーカを組み込んだ。
Fostex FF105WK を8リットルの箱に入れたバスレフ型。
ポートを床方向に開口している。
音の広がりを考えてスピーカは15°外向きに設置する。
2×4・2×6・2×10・1×6・1×12の複数のツーバイ材を使用している。
キャビネットは8.54リットルあり、低音がよく響く。
バスレフポートは特性から考えてポートがなくても充分と判断し、
50mmの穴のみがあいている。ツーバイ材の40mmがポートか?
キャビネット横にすばらしいコストパフォーマンスを持つ
LAPEIのパワーアンプを装備し、ライン入力ですぐに音が出る。
このスタイルは怪しいロボットのようになってしまった。

   


 ■ 2×4材の入手
  2×4材は一般のホームセンタで簡単に入手できるが、
  入荷時期や季節で材の曲がりやねじれが大きくなる。
  まとめ買いをしておくと大きく湾曲してしまう時もある。
  パイン材は節が多く、傷も目立つ。
  表面が綺麗で質のいい材料は「木工ランド」で入手できる。
  家具作りに適したきれいなパイン材だ。
  お店が山梨なので、送料が気になるところ。
  その他、イペ、ジャラなど、堅く、木肌が美しい材料も手に入る。



 足場材キューブスピーカ

足場材の木のイメージを生かしたスピーカの第2弾。
200mm幅の足場材のサイズから、
195mmスクエア、コロコロサイコロスタイルにまとめてみた。
4.5リットルの密閉型スピーカで145Hz共振。
インテリア感を重視したかわいいスピーカ。
ユニットは10cmのFostex P1000K。
サイコロスタイルをキープするためスピーカを見せない構造に。
20mmの穴をいくつもあけて見た。

ユニットを入れる段階で12cmのダイトーボイスのユニットに変更。
TSパラメータがないため予想ができない。

コロコロサイコロスタイルは、棚にのせても床に転がしてもいい。
上から吊ってみてもいいかもしれない。

   


 壁掛けスピーカ

壁に掛けるスピーカがあってもいい。
100円ショップで見つけたミニシェルフと
300×600×6mmのMDFボード(これは\200)で
小型のスピーカボックスを作ってみる。
MDFボードは木工ボンドで貼り付けるだけなので 簡単に工作ができる。
ボックスサイズはミニシェルフのサイズを基本に、
横幅190mm奥行き45mmを決定する。
計算した容量0.64リットルから120mm高になる。
スピーカユニットはHiviのB2S、2インチスピーカ。
アルミ合金コーン製で赤みのあるきれいなスピーカ。
吸音材として観賞魚用のフィルタを入れる。

   



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